こんばんは、kanatoです。
今回は「オレンジ・ブロッサム」を調製しました。
ジンとオレンジ・ジュースだけで作れる、とてもシンプルな一杯です。オレンジの甘酸っぱさがジンの角をやわらげてくれるので、カクテルを飲み慣れていない方にも入り口としておすすめできる、やさしい味わいに仕上がります。
このカクテルについて
オレンジ・ブロッサムは、その名のとおり「オレンジの花」を意味する、ジンベースのショート・カクテルです。ドライ・ジンにオレンジ・ジュースを合わせてシェークするだけという最小限の構成ながら、甘味・酸味・ジンの爽やかな香りがきれいにまとまる、クラシックの王道といえる一杯です。
このカクテルがよく知られるようになったのは、1920年代のアメリカ——いわゆる禁酒法時代だといわれています。当時出回っていた密造ジン(いわゆる「バスタブ・ジン」)は香りも味も粗く、そのままでは飲みづらいものでした。そこでオレンジ・ジュースをたっぷり加えて飲みやすくしたのが今日の形につながったとされ、このロマンのある物語が広く語り継がれています。
もっとも、レシピそのものは禁酒法以前から存在していました。1906年の『Louis’ Mixed Drinks』や1914年の『Beverages de Luxe』には、ドライ・ジンとスイート・ベルモットを半量ずつ、そこにオレンジ・ジュースをティースプーン1杯ほど加えるという、いまとはかなり異なる原型が記されています。つまり、もともとはベルモットを効かせた一杯で、禁酒法時代に粗悪なジンを覆い隠すためオレンジ・ジュースの比率が増え、やがてベルモットが省かれて「ジン+オレンジ・ジュース」のシンプルな形へと変化していった、という流れです。活字での初出は1932年のロバート・ヴァーメイヤー著『Cocktails: How to Mix Them』とされ、ピッツバーグのバーテンダー、マロイが考案したカクテルとして紹介されています。
「オレンジの花」は、花と実を同時につけることから「愛」や「豊穣」の象徴とされ、花言葉には「純粋」「花嫁の喜び」があります。欧米では結婚式の披露宴で食前酒として供されることもある、めでたい場にふさわしいカクテルです。
なお、別名を「ジン・オレンジ」ともいい、ジンに多めのオレンジ・ジュースを加えてステアで仕上げる、ロングタイプのスタイルで作られることもあります。ジンを使った代表的なクラシックのひとつなので、これからジンのカクテルを試してみたい方の入り口にもおすすめです。(※ジンをはじめとする基本のベース酒については、6大ベーススピリッツ入門でまとめてご紹介しています。)

レシピ
材料
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| ドライ・ジン | 45 mL |
| オレンジ・ジュース | 15 mL |
調製方法
- ドライ・ジンとオレンジ・ジュースをシェーカーに入れ、氷を加える。
- しっかりとシェークする。
- 冷やしたカクテルグラスに注ぐ。
使用グラス:カクテルグラス
ケンゾーの一言アドバイス

このカクテルは材料が少ないぶん、オレンジ・ジュースの質がそのまま味に出ますな。できれば果汁100%のもの、可能であれば搾りたてを使っていただくと、香りがまるで変わってきますかと思います。シェークはしっかりめに振っていただいて構わないかと思います。

……甘めが好きなら、スイート・ベルモットを少し足すといいわ。それだけで一気に古風な大人の味になる。
飲んでみた感想
2016.01.12 初調製

ジンは「ボンベイ・サファイア」を使いました。今回は少しドライな割合で作りましたが、オレンジ・ジュースの甘味・酸味とジンの爽やかさが非常にマッチしていて、アルコールの強さをうまく打ち消してくれます。ジンの風味をしっかり感じたい方はこの割合のまま、アルコールが苦手な方はジンとオレンジ・ジュースを1:1くらいにすると、ぐっと飲みやすくなります。食事に合わせるというより、これ一杯でゆっくり楽しみたい味わいでした。
ちなみに「ボンベイ・サファイア」には「スター・オブ・ボンベイ」というスーパープレミアム版もあるようなので、いつか同じレシピで飲み比べてみたいところです。
2026.06.14 再調製①(翠ジン×缶オレンジ+アンゴスチュラ)

今回は趣向を変えて、いつものドライ・ジンではなくサントリー翠(SUI)ジンで作ってみました。柚子などの和素材が香る国産ジンなので、オレンジとどう合うのか試したかったのです。オレンジ・ジュースは缶のもの、さらにアンゴスチュラ・ビターを1dash加えるアレンジにしてみました。
飲んでみての正直な感想は、「少し水っぽくなった」というものでした。缶のオレンジ・ジュースだと、思ったよりオレンジの香りが弱く、かわりに翠の柚子や緑茶のニュアンスが前に出てきます。これはこれで和を感じる一杯なのですが、オレンジ・ブロッサムらしい甘酸っぱさを主役にしたいなら、やはり搾りたてのオレンジを使うのがおすすめだと改めて感じました。初調製のときにケンゾーが言っていた「できれば搾りたてを」というアドバイスを、身をもって確認した形です。
救いになったのはアンゴスチュラ・ビターでした。1dash効かせるだけでビターの輪郭が加わり、ぼやけがちだった甘さがすっきりと締まります。素材が少ないシンプルなカクテルだからこそ、オレンジの鮮度とほんのひと工夫で印象が大きく変わる——そんなことを実感した再調製でした。

アレンジレシピ
禁酒法以前の原型(スイート・ベルモット版)
前述のとおり、古い時代のレシピはドライ・ジンとスイート・ベルモットを半量ずつ、オレンジ・ジュースをティースプーン1杯ほど加えるスタイルでした。ベルモットの香草感とほのかな甘みが効いた、ビターでまろやかな大人の味わいです。当時の雰囲気を味わってみたいときにおすすめします。
モダンな等量版(1:1:1)
現在では、ジン・オレンジ・ジュース・スイート・ベルモットを1:1:1(各1/3)の等量でシェークする飲み方も広く知られています。オレンジ・ジュースをしっかり効かせつつ、ベルモットのコクも楽しめるバランス型のレシピです。
グレナデン版
ジン45mL・オレンジ・ジュース45mLに、グレナデン・シロップを1〜2ダッシュ加えると、ほのかな赤みと甘酸っぱさが出ます。見た目にも華やかになるので、おもてなしの一杯にも向いています。
アンゴスチュラ・ビター版
ジンとオレンジ・ジュースの基本レシピに、アンゴスチュラ・ビターを1dash加えるだけのアレンジです。ビターの香草感とほのかな苦味が味の輪郭をつくり、甘さがすっきりと引き締まります。市販のジュースで甘めに仕上がったときの調整役としてもおすすめです。
調製記録
| 調製日 | 内容 | 使用銘柄(ジン) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2016.01.12 | 初調製 | ボンベイ・サファイア | ドライ寄りの割合(ジン45:OJ15) |
| 2026.06.14 | 再調製① | サントリー翠 | 缶オレンジ+アンゴスチュラ1dash・生搾り推奨の学び |


コメント