同じ材料でも味が変わる? カクテルの3技法と道具入門

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こんばんは、kanatoです。

カクテルのレシピを見ていると、「ビルド」「ステア」「シェーク」といった言葉が当たり前のように出てきます。なんとなく読み飛ばしてしまいがちですが、実はこの3つ——カクテルの「技法(テクニック)」こそが、一杯の味わいを大きく左右する重要なポイントです。

おもしろいことに、まったく同じ材料・同じ分量でも、どの技法で作るかによって口当たりも温度も別物になります。つまり技法を知っておくと、レシピを見ただけで「これはキリッと冷えた一杯だな」「これは口当たりがまろやかになりそうだ」と、仕上がりの見当がつくようになるのです。

この記事では、カクテルづくりの土台になるビルド・ステア・シェークの3技法と、それを支える基本の道具を、初心者の方に向けてやさしく解説します。各技法で作れる定番カクテルのレシピも紹介しますので、気になったものはそのまま読み進めてみてください。

ケンゾー
ケンゾー

いらっしゃいませ。今夜は一杯お出しする前に、技法のお話を少々。同じお酒でも、振るか・混ぜるか・注ぐかで表情がまるで変わるのですな。ここを押さえておくと、ご自宅での一杯がぐっと本格的になりますかと思います。

Bar Kのカウンターでシェーカーなどのバーツールを前にするバーテンダーのケンゾーと常連客ルナ

そもそもカクテルの「技法」とは?

カクテルの技法とは、材料を混ぜ合わせ、冷やし、味をひとつにまとめるための手法のことです。代表的なものが、これから紹介するビルド・ステア・シェークの3つ。どれを使うかは、材料の「混ざりやすさ」で決まります。

ざっくり言えば——混ざりやすい材料は軽く混ぜるだけ(ビルド・ステア)、混ざりにくい材料はしっかり振って一体化させる(シェーク)、というのが基本の考え方です。

まずは3つの技法の違いを、ひと目で見比べてみましょう。

技法やり方仕上がり向く材料代表カクテル
ビルドグラスに直接注いで作る炭酸が活きる・手軽炭酸・ジュースなど混ざりやすいものハイボール/ジン・トニック
ステアミキシンググラスで静かに混ぜる透き通った・なめらか酒同士など比重の近いものマティーニ/ピカドール
シェークシェーカーで振って混ぜるまろやか・よく冷えた卵・乳製品・果汁など混ざりにくいものXYZ/カミカゼ
ケンゾー
ケンゾー

「迷ったら、混ざりにくいものはシェーク」と覚えておかれると分かりやすいかと思います。透明感を大切にしたいときはステア、炭酸の爽快さを活かしたいときはビルド、ですな。

ここからは、ひとつずつ見ていきましょう。

① ビルド — グラスの中で直接組み立てる

ビルド(Build)は、提供するグラスの中に材料を直接注ぎ、その場で組み立てる、いちばんシンプルな技法です。氷を入れたグラスにお酒を注ぎ、炭酸やジュースで満たして、軽くひと混ぜすれば完成します。

仕上がりの特徴:道具がほとんど要らず手軽なのが最大の魅力。炭酸を使うカクテルでは、強く混ぜすぎないことでシュワっとした爽快感をそのまま活かせるのがポイントです。

コツ:氷はたっぷり、炭酸を注いだあとは「縦に1〜2回」そっと混ぜるだけ。混ぜすぎると炭酸が抜けてしまうので、ぐるぐる回さないのが上手に作るコツです。

この技法で作れる定番カクテル

  • ハイボール — ウイスキーを炭酸で割るだけ。ビルドの代表選手で、食事にも合う万能ロング
  • ジン・トニック — ジンをトニックウォーターで割る、家庭でも作りやすい定番中の定番

② ステア — 静かに混ぜて、透明感を守る

ステア(Stir)は、ミキシンググラス(メイキンググラス)に材料と氷を入れ、バースプーンで静かにかき混ぜる技法です。混ぜながら適度に冷やし、できあがったらストレーナーで氷をこしながらグラスへ注ぎます。

仕上がりの特徴:シェークと違って空気を含ませないため、透き通った見た目となめらかな口当たりに仕上がります。お酒同士を合わせる、香りを大切にしたいカクテルに向いています。

コツ:バースプーンの背をグラスの内側に沿わせ、氷を傷つけないように10〜15回ほど。手早く混ぜて、余分な溶け水を出しすぎないのが美しく仕上げる秘訣です(回数はあくまで目安です)。

ステアの代表といえば、ジンとベルモットで作るマティーニ。空気を含ませず澄んだ味わいに仕上げる、まさにステアの象徴のような一杯です。Bar Kで実際にステアで作るレシピなら、テキーラとコーヒーリキュールを静かに混ぜるピカドールが、その感覚をつかむのにぴったりですので、まずはここから試してみてください。

この技法で作れるカクテル

  • ピカドール — テキーラとコーヒーリキュールを静かに混ぜる、ほろ苦い大人のショート
ルナ
ルナ

……ステアは地味に見えて、いちばん腕が出る技法よ。混ぜすぎれば水っぽく、足りなければぬるい。静かに、でも手早く。それだけで一杯の格が変わるわ。

③ シェーク — 振って、一体化させる

シェーク(Shake)は、シェーカーに材料と氷を入れて振る技法です。バーカウンターでバーテンダーがリズミカルにシェーカーを振る、あの動作がまさにシェークです。

仕上がりの特徴:強く振ることで、混ざりにくい材料をしっかり一体化させ、同時に空気を含ませてまろやかな口当たりに仕上げます。よく冷えて、表面にうっすら霜が立つのも魅力。卵白・生クリーム・果汁など、ビルドやステアでは混ざりにくい材料を使うカクテルで活躍します。

コツ:氷をしっかり入れ、手首のスナップを効かせて10〜15回ほど。長く振りすぎると氷が溶けて薄まるので、「短く・力強く」が基本です。仕上がりの温度が下がりきったら、すぐにグラスへ注ぎます(回数はあくまで目安です)。

この技法で作れる定番カクテル

  • エックス・ワイ・ジー — ラム・ホワイトキュラソー・レモンを振って仕上げる、シェークの基本が詰まった一杯
  • カミカゼ — ウォッカ・ホワイトキュラソー・ライムの、キリッと切れ味のよいショート

技法を支える、基本の4つ道具

3つの技法をおうちで実践するために、そろえておきたい基本の道具を紹介します。最初からすべて完璧にそろえる必要はありませんが、あると仕上がりが一段と変わります。

道具役割使う技法
シェーカー材料を入れて振り、冷やして一体化させるシェーク
バースプーン材料を静かに混ぜる・少量を量るステア/ビルド
メジャーカップ(ジガー)分量を正確に量るすべて
ストレーナー氷をこしながら注ぐステア(シェーカーには内蔵)

シェーカー:「トップ」「ストレーナー」「ボディ」の3つのパーツからなる、ふた付きの容器です。この一般的な「スリーピース型」(コブラー・シェーカー)は、こし器(ストレーナー)が一体になっているので、これひとつでシェークからグラスへの注ぎまで完結します。最初の1台にはこのタイプがおすすめです。

バースプーン:柄が長く、先端がスプーン、反対側がフォークになった専用スプーン。ステアで混ぜるのはもちろん、ビルドでそっとひと混ぜするときにも使います。ねじれた柄はグラスの内側に沿わせて混ぜるための工夫です。

メジャーカップ(ジガー):大小2つのカップが背中合わせになった計量器。日本では30mLと45mLの組み合わせが一般的です。カクテルは分量の比率が命なので、目分量に頼らずきちんと量ることが、味を安定させる近道になります。

ストレーナー:ミキシンググラスで作ったカクテルを注ぐとき、氷をせき止めるこし器です。バネ(コイル)のついた円盤状のもの(ホーソン・ストレーナー)をグラスにあてて使います。

ケンゾー
ケンゾー

まずはメジャーカップを一つお持ちになるだけでも、味の再現性がぐっと上がりますかと思います。シェーカーやバースプーンは、作りたいカクテルが増えてきてからで構わないかと思いますな。

どの技法から覚える? 初心者へのおすすめ順

3つの技法、どれから手をつければいいか迷ったら、ビルド → シェーク → ステアの順がおすすめです。

  • まずはビルドから … 道具がほぼ要らず、グラスひとつで完成します。ハイボールジン・トニックで「割る」感覚に慣れましょう。
  • 次にシェーク … シェーカーを手に入れたら、エックス・ワイ・ジーカミカゼで「振る」リズムを覚えます。難しそうに見えて、コツは「短く力強く」だけ。
  • 最後にステア … いちばん奥が深い技法です。ピカドールあたりで、透明感のあるなめらかな一杯を目指してみてください。
ルナ
ルナ

……焦らなくていい。ビルドのハイボールひとつでも、氷と混ぜ方ひとつで驚くほど変わるから。まずは一つの技法を、丁寧に。

よくある質問(FAQ)

シェークとステア、どう使い分けるの?

材料が「混ざりやすいか」で判断します。お酒同士など比重の近い・澄んだ材料はステア、卵白・生クリーム・果汁など混ざりにくい材料が入るものはシェーク、と覚えておくと迷いません。透明感を活かしたいときはステア、まろやかに仕上げたいときはシェークです。

道具がなくても、おうちでカクテルは作れる?

作れます。ビルドのカクテル(ハイボールなど)なら、グラスとマドラー代わりのスプーンがあれば十分です。まずはビルドから始めて、作りたいカクテルが増えてきたらシェーカーやメジャーカップを買い足していくのがおすすめです。

シェーカーはどんなものを選べばいい?

最初の1台は、こし器が内蔵された「スリーピース型」(コブラー・シェーカー)が扱いやすくおすすめです。容量はおうち用なら350mL前後が使いやすいサイズ。ステンレス製は冷えやすく、手入れもしやすいので長く使えます。

ステアやシェークの「混ぜすぎ」って何がいけないの?

混ぜたり振ったりする時間が長いほど氷が溶け、その溶け水でカクテルが薄まってしまいます。冷やすことと薄めないことの両立がポイントなので、「手早く・短く」を意識するときれいに仕上がります。

まとめ

カクテルの3つの技法を、もう一度おさらいしましょう。

技法の違いが分かると、レシピを読むのが、そしてカクテルを作るのが、ぐっと楽しくなります。気になった技法から、Bar Kのレシピで実際に試してみてください。

さらに深く学びたい方へ(参考書籍)

技法をもっと本格的に学びたくなったら、銀座のバー「テンダー」のオーナーバーテンダーで、“ハードシェイク”の提唱者としても知られる上田和男氏の名著『カクテルテクニック』が頼りになります。シェーク・ステア・ビルドの基本動作がカラー写真付きで丁寧に解説された、まさにカクテルづくりの教科書というべき一冊です。Bar Kでもこの本を紹介していますので、よろしければあわせてどうぞ。

『カクテルテクニック』(上田和男 著)の紹介記事はこちら

それでは、よい一杯を。

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